対話形式の掲載にしていますので、ぜひ見てください。
今回は先生のこちらの作品、
大日如来についてお聞きします。
東京西新井大師徳壽院本尊
大日如来
高さ 82cm
基礎 檜材
木地 截金仕上げ
台座の途中に獅子を七頭を彫刻しています。
こちらは通常はないもので一つの特徴と言えます。
他には、四本の水瓶(すいびょう)を配していることです。
こちらは結界として四方に立てて、聖域を目に見える形で表現しています。
曼荼羅(まんだら)の中に描かれているお姿やその意味をそのまま表現することに取り組み、
お寺からとても喜んでいただきました。
初歩的なことをお聞きするのですが、
大日如来の髪の色の青色にはどういった意味があるのでしょうか?
仏像にはたくさんの種類がありますが、
如来・菩薩(ぼさつ)・明王(みょうおう)・天部(てんぶ)といったグループ分けができます。
その中で如来は一番 位(くらい)が高く、髪の色も位が高いことを表す紺碧(こんぺき)となります。
如来の髪を黒くすることは、格下げを意味することになってしまうんですよ。
髪の色にも意味があるのですね。
昔からの仏像の造り方が守られてきているのですね。
そうです。
それは、儀軌(ぎき)という書物に造仏の決まり事が書かれています。
デザイン性は長く練られてきたもので、私一人の思いつきでは変えられないものです。
書かれている内容をしっかりとチェックして確認しながら造っていくことが、本来の意を現代や未来へ残していく為に大切なことです。
そうなのですね。
作品の中の一つ一つに受け継がれたものがあると思うとその深さに新たな世界が広がることを感じずにはいられません。
先生の作品からは、長く受け継がれた伝統もさることながら、その存在がありありと表れていて生命力に満ち溢れていると私は感じています。
光背(こうはい)がこのように丸く全体から発せられているような表現はとても美しく荘厳さを強く感じますが、こちらはどの様になっているのでしょうか?
こちらの作品での光背も大きな特徴の一つです。
曼荼羅に描かれているそのまま(参考:曼荼羅の写真)を実現する為、仏様の真後ろからの光を表現する形にデザインしました。
仏像は今日まで1000年以上作られてきましたが、月輪(がちりん)※をこのような形で表したものはありませんでした。
(参考:横からの撮影写真・後ろからの撮影写真)
これがスタンダードとして残り続けるか、無くなっているかは先になってみないとわからないことではありますが、 これは、一つの投げかけでもありました。
そうなんですね。
伝統と本来の意を表す新しい試み、先生の作品にはそんな興味深さを新たに発見させていただきました!
ありがとうございました。
※大日如来は太陽を表し、光背は月を表す月輪(がちりん)。
それに対して如意輪観音は月に関わりが深く、
光背は太陽を表す日輪(にちりん)は赤くなっています。